― 清少納言に学ぶ、自分の感覚をたいせつにする生き方 ―
はじめに ― 「私ってちゃんとできてるのかな…？」と感じたら
いつも誰かの期待に応えようとして、気づけば、自分の気持ちを後まわしにしてしまっている。
「ちゃんとやらなきゃ」「迷惑をかけないようにしなきゃ」って思えば思うほど、本当の“自分のペース”が、だんだんわからなくなってくる。
そんなふうに、自分の気持ちがわからなくなりそうなとき、ふと、そっと心に寄り添ってくれる言葉があります。
それは、ずっと昔――1000年も前に生きたひとりの女性が、まっすぐなまなざしで紡いだことばたち。
清少納言。
「私はこう感じたよ」「私はこう在りたいな」
そんなふうに、自分の感覚を大切にしながら、生きていた人です。
清少納言って、どんな人？
「春はあけぼの」で始まる『枕草子』。
この、美しいことばの数々を綴ったのが、清少納言です。
彼女は、中宮定子に仕えた宮廷の女性。
当時の女性たちは、控えめであることが良しとされていた時代に、自分の「好き」や「感じたこと」を、ありのままに言葉にして残しました。
たとえば、朝の雪景色に心ときめいた瞬間や、誰かのしぐさに対する小さなイライラ。
そういう、“ほんのちょっとの心の動き”を、誰に遠慮するでもなく綴っているんです。
読んでいると、なんだか友達とおしゃべりしているみたい。
「ねえ、これってあるあるだよね？」って、1000年前の彼女が笑いながら語りかけてくるような、そんな感じさえします。
自分の感覚に、うそをつかないでいること
清少納言は、ただ自己主張の強い人だったわけじゃありません。
宮廷という“空気を読む”ことが求められる場所にいた彼女は、きっと、まわりへの配慮だってたくさんしていたと思います。
それでも彼女は、「私の感じ方は、私にしかわからない大切なもの」として、自分の心に正直でいることを選んだんです。
「みんなに合わせなきゃ」「ちゃんとしなきゃ」じゃなくて、「私はこう感じた」「私はこう思う」って、自分に言ってあげること。
それだけで、どこか心がスッと軽くなることってありますよね。
比べるより、「私は私でいい」と思えること
実は、同じ時代に生きた紫式部からは、「清少納言って、なんか得意げすぎる…」みたいに、ちょっと皮肉を言われたりもしています。
でもそれって、裏を返せば――
彼女が自分の感性を大切にして、それを臆せず表現していた証拠なんですよね。
自分の“心地よい”を大切にしていい。
まわりと比べすぎなくていい。
「私はこう在りたい」っていう、ちいさな声を信じる。
それが、自分軸を育てるってことなのかもしれません。
“私のままでいい”って、思える日が増えるように
誰かの正解をなぞるより、自分の気持ちをていねいに見つめてみる。
「こう感じるのは私だけかな？」って思うことも、清少納言ならきっと、「それ、わかる」って笑ってくれそうです。
心がふっとやわらかくなる瞬間。
ちょっとだけでも、「これでいいのかも」って思える気持ち。
そんな小さな灯りを、大切にしたいなと思うんです。
🕊️ 今日できること：
自分の“好き”や“心地よさ”に目を向けてみる。
・ 朝、窓を開けて外の空気を感じてみる。空の色や風のにおいを味わう。
・ 服を選ぶとき、「人からどう見えるか」より「自分が気分よくいられるか」で選んでみる
・ その日食べたいものを、自分の気分に正直になって選んでみる。
おわりに ― あなたの“感じ方”は、あなたにしかない宝物
誰にも言えないけど、なんだか好きなもの。
なんとなく合わないな、って感じること。
それって、全部あなたの感性。
誰かに合わせて消してしまうには、もったいないくらいの、“あなただけの宝物”なんです。
清少納言は、それを堂々と表現していた。
だからこそ、1000年も経った今でも、彼女の言葉が生きているんだと思います。
どうか今日も、自分の心の声を、そっと大事にしてあげてくださいね。
ほんのひとときでも、心がゆるむ時間になっていたら嬉しいです。
今日という一日が、やさしく灯りますように。
それではまた、言葉の灯りの下で。
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